abou LINEN

はじめに

ご存じですか? リネンが、肌をくるむ布として古代エジプトの頃より使われていたのを。
素肌に触れるのにふさわしい繊維として愛され、それゆえリネンを意味するLinという
フランス語がランジェリー(Lingerie)の起源になったことを。
「大理石が彫刻家にとってそうであるように、リネンは仕立て屋にとって高貴な素材である。」と、かの有名な服飾デザイナーもリネンに讃美しました。

人類とリネンとの長い歴史は太古より紡がれその流れは今もゆったりと続いています。
ここでは、その奥深い世界への扉をそっと開けてリネンの魅力に触れてみたいと思います。

リネンの歴史

「人類最古の繊維」といわれるリネンのはじまりは時間を遡ること、なんと3万年前の西アジア。
チグリス・ユーフラテス川の流域で栽培されていた他、エジプト王国では“Woven Moonlight(月光で織られた生地)”と呼ばれ、広く神事にも使われていたことがわかっています。
古代文明の中で人々に愛でられたリネンは、やがて海をわたり、ヨーロッパ全土へ伝えられたとみられます。

そして18世紀。中世ヨーロッパに根づいたリネン文化は英国・北アイルランドで磨かれ、品質の高さが世界的に認められるようになりました。当時、ヨーロッパの花嫁たちが嫁入り道具としたように、リネンは暮らしの豊かさを象徴するとくべつな繊維でした。今日でも、英国王室をはじめ世界の正式な晩餐会のテーブルに使われていることがリネンが担ってきた伝統や格式を物語っています。

リネンの原料

リネンが、フラックス(flax)という名の植物からとれる
ことを知る人はあまりいないのかもしれません。
フラックスは亜麻科の一年草で、少し寒い土地で育ちます。
良質な生産国として知られるのはベルギーやフランス。
リネンの安定した生産を維持するために連作はせず、
栽培は6.7年ごとの輸作でおこなわれます。そのため
収穫量に限りがあり、いっそう貴重な原料となっています。

4月に種を蒔くと、6月頃に青紫の可憐な花をつける
フラックス。花は日の出とともに咲きはじめ、
正午を待たず散っていく夢のようなはかなさです。
1週間ほどですべての花を咲かせた後は、ゆっくりと
太陽の下で乾燥していきます。やがて金色に輝きはじめ
たら収穫間近。フラックスの茎の部分から、リネンの
もとになる繊維の束を取り出す作業にかかります。

リネンの作り方

次のような工程によって、リネンは生まれます。

1.乾燥させたフラックスを地面から引き抜きます。
数週間のあいだ地面の上に寝かせ、雨露で茎の不要な
部分を腐らせることによって、繊維を分離しやすくさせます。

2.機械で茎を叩き、皮と木質部を取り除き、繊維を取り出します。

3.櫛で梳くように、機械によって繊維の束をまっすぐにそろえます。
もつれや固まりを取り除き、長くきれいな繊維の束にします。

4.お湯の中に繊維の束をくぐらせながら、繊維どうしをつなぐ
ペクチン質を軟らかくします。その繊維に撚りをかけて
リネンの細い糸を紡いでいきます。

上質できれいなリネンを作るには、これにさらに多くの
手間が加わります。豊かで広大な自然の恵みと、長い歴史の
うちに受け継がれてきた技術とが、リネンの源です。

リネンの特徴

ぜひ知っていただきたい、リネンの優れた点があります。

まず、吸収性・発散性に優れていること。水分や汗を素早く吸い取り、また発散するのでいつでも爽やかな肌触りを楽しむことができます。
そして、独特ななめらかさとしっとりした優雅な光沢。
目にする人に、豊かな気分を与えてくれることは間違いありません。
次に、汚れがついても簡単な洗濯で落とせること。
また、毛羽が付着しにくいため、グラスや食器類を拭くのに最適であること。
衛生的であることから、ホテルではテーブルクロス、ナプキン、シーツにも使われています。
そして、何といっても天然繊維の中で一番丈夫であること。濡れると強さが一層増すので、繰り返し洗濯ができて大変に長持ち。日々の暮らしにふさわしい素材です。

お手入れについて

リネンは、ご家庭でも簡単に洗濯ができます。
次の点に気をつけていただくと、より永く、良い状態で
お楽しみいただけます。

□漂白剤は繊維を傷めるので使用しない
□蛍光剤入りの洗剤はリネンの色合いを損なうので使用しない
□製品によっては型崩れしやすいので、表示やタグに従う
□ニットやジャージ製品には中性洗剤を使用して、ぬるま湯で押し洗い、
すすぎをした後は軽く脱水機にかけバスタオルの上などで形を整えて、乾燥させる。
□自然乾燥でもすぐに乾くので、乾燥機にはかけず陰干しをする。

Q & A

Q.「リネン」と「麻」は、どう違うのですか?

A.「麻」は植物の茎や葉脈からとれる繊維の総称です。
その中で、家庭用品品質表示法が「麻」という表記を課しているのは「リネン」、「ラミー」という2種類の繊維のみですが、一般には「ジュート」や「ヘンプ」も「麻」の仲間として扱われています。もうご存知のとおり、「リネン」はフラックスから作られます。それに対して「ラミー」はイラクサ科に属する多年草が原料でシャリシャリした肌触りや、硬いシワに特徴があります。

Q.よく耳にする「アイリッシュリネン」とは何ですか?

A.かつて英国が産業革命を推し進めていた時代、北アイルランドのJames Mackie&Sons社が高品質なリネン糸を生産する紡績機の開発に成功しました。この紡績機によって生産された良質なリネンが輸出されるようになり、北アイルランドの高度な紡績技術が生み出す最高品質のリネンは「アイリッシュリネン」と認知されるようになりました。現在、北アイルランドの紡績業は姿を消してしまいましたが、その高度な紡績技術は他国の紡績工場に伝授され、「アイリッシュリネン」品質として継承されています。また、細番手の糸を使用した高品質なリネンに冠して 「アイリッシュリネン」という言葉が使われる場合もあります。

Q.フラックスを育ててみたいのですが。

A.とても育てやすい花です。種まきシーズンは3月後半から4月前半。だいたい100日で開花すると言われています。地植えでも鉢植えでも、植えたい場所に直播きしてください。土が乾燥しすぎないこと、そして日当たりが良いことが条件で、とくに午前中に日が当たることが重要です。やがて、青紫の可憐な花をつけてくれるでしょう。多くの場合は、朝に咲いて午前中には散ってしまいますから、見ることができたら幸運。リネンの花言葉は「感謝」です。

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