Crafted Corduroy

今季、nest Robeのコーデュロイは、コート、ベスト、ボトムスの3型を展開します。加工の有無によって生まれた異なる表情が、それぞれのアイテムにさりげなく息づきます。素材の持ち味を最大限に引き出すために、職人の丁寧な手仕事を惜しみなく注いで仕上げました。染め、仕上げ加工を依頼したのは、確かな経験値と熟練の技を持つ、岡山県倉敷市の染色・加工工場。丁寧な仕事が、素材本来の持ち味を一層引き立てます。

コーデュロイは、綿の平織りや綾織りの生地を基に、パイルを立てて畝を形成する、古くからワークウェアやユニフォームに用いられたきた素材です。畝の太さや密度、カットの深さによって、風合いや表情が変わるため、織機の調整から裁断、仕上げに至るまで、すべての工程に繊細な管理が求められます。光を受けると、畝が生み出す陰影のコントラストが際立ち、淡い艶と奥行きが浮かび上がるの魅力の一つです。

今季のnest Robeのコーデュロイは、豊かな表情をさらに引き出すため、生地の段階での染めや、製品に仕立てた後に行う後加工など、複数の工程を丁寧に重ねています。幾重の手仕事が、素材のもつ豊かさを際立たせています。

カラーは、加工の異なるLight BlueとDark Greenの2色展開。それぞれの製法が、同じ生地に異なる表情と奥行きを生み出しています。

Color - Light Blue
Ball Bio 自然な褪色引き出す

「ボールバイオ加工」は、洗いの工程で天然の酵素と小さなボールを用い、生地表面を優しくなでる加工方法です。余分な毛羽を落とし、表面をほどよく擦ることで、ヴィンテージウェアのような質感に仕上がります。これをコーデュロイに施すことで、畝部分にほんのりとした擦れや立体感が生まれ、生地本来の風合いを引き立てながら、味わいのある表情になります。これは、機械任せでは再現できない自然さが魅力で、加工のかけ方ひとつで風合いや色味が大きく変わるため、繊細な調整と経験があってこそとなります。

Color - Dark Green
Overdye - 奥行きを生む染技法

オンラインショップ限定カラーとして登場するDark Greenは、ベースとなる生地にオーバーダイを施し、あえて加工を加えないことで、生地本来のハリと深みある発色をそのまま活かした仕上がり。トラディショナルな印象を纏いながら、より端正で静かな佇まいです。

製品の形に仕上げた後にもう一度染めを施す「オーバーダイ」。染料はステッチや生地の凹凸をたどりながら、濃淡を描き、深い陰影を刻んでいきます。特にコーデュロイのように畝（うね）のある生地では、染料の乗り方に差が出やすく、陰影や奥行きがいっそう際立ちます。一枚一枚の染まり方が微妙に異なるため、全く同じ仕上がりは存在しません。職人の勘と手仕事によって仕上げられる、偶然性と唯一無二の表情が魅力です。生地や縫製仕様によっては色ブレや収縮が起きやすく、コントロールには高い技術が求められます。