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「質感 (TEXTURE)」と「文脈 (CONTEXT)」
こんにちは、新谷です。
また一つ、心を鷲掴みにされた素材の服がCONFECTに誕生しました。
先週公開の特集ページでご紹介中の、こちら。
2型のデニムパンツです。
本当に驚きました。
この素材を見ていると、なんだか惹き込まれるんです。
じっと見て、目で糸1本1本を追いかけてしまう感じです。
もちろんこのパンツ自体のデザインや穿いた時のシルエットが
そもそもクールなのですが、
なんでしょう。どうしてもこの生地は、生地そのものに、どうも惹き込まれる。
そんな魅力があります。
このデニムを見ていると、
「TEXTURE(テクスチャー)」という言葉が浮かびます。
直訳では、「質感」です。
「質感」は、なかなか曖昧な言葉なので
日本語特有かなと思っていましたが、
英語では、「TEXTURE(テクスチャー)」。
「TEXTURE(テクスチャー)」は、こうも考えられます。
TEXTUREというこの言葉、字面には「TEXT(文章)」が含まれていますし、
派生して「CONTEXT(文脈)」にも重なってきます。
語源はというと、ラテン語の「texo」:織る、編む
生地は、元々「糸」、さらに遡れば「わた」です。
植物の繊維、動物の毛を、紡いで糸にして、
糸同士を織り合わせ、布状になったもの。
その表面から漂う雰囲気を、
「TEXTURE(テクスチャー)=質感」と名付けています。
語根を等しくして、
「CONTEXT(文脈)」があるように、
文や文脈も、繊維や糸が成す生地のように
構成する言葉たちの集まりで、その組み合わせや表現の仕方で
感じるものが大きく異なってきます。
質感も、文脈も、
感じるもの。
ズバリ、こうだ。
と言わずとも、
「なんかいいなとか」、
「こういうことかな」、
と、感じるものです。
このデニムに話を戻しますと、
僕はどう見ても、
このデニムを見た時に、
一言でブラックデニムとして、片付けられないです。
ちらちらと吹き出したヘンプの繊維。
経糸の奥のほうから黄金色のヘンプ糸が見える。
緯糸のヘンプは畝るように走っていて、
黒い経糸に細かな動きをもたらす。
硫化染めの黒のコットン糸は、濃度がちょっと浅くて、
重奏感、奥行きを感じます。
などなど。
この生地を目の前にすると、
質感に目が奪われ、
色々な言葉が浮かんできます。
TEXTURE(テクスチャー)という言葉を発明した人は、
「文」すなわち「言葉」という意味も、重ねていたのかもしれません。
ついでに、
「CONTEXT(文脈)」も、想像性の世界です。
ズバリひと言で言えるものではなく、
脈を読み、隠れた行間を解釈して、言葉で浮き彫りにしていく。
「質感」と「文脈」は
楽しみ方が似ているのです。
長々と綴りましたが、
服を色々な角度から楽しんでいただく、
そんなきっかけになればなと思い
ブログに書き留めておきます。
それではまた。