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スラウチ。
こんにちは、新谷です。
東京・神保町では、
毎年恒例の古本市が開催されていた先週。
古書店の軒を連ねる古書の街、神保町からの
立地的な流れからか、東大と藝大に挟まれた
根津、谷中、千駄木にも多くの古本屋があります。
(神保町より北に、2、3キロ行ったところ。)
先日ぷらぷらと谷中を歩いていると
ここ1、2年ぐらいでできた古本屋があり、
以前より気になっていたので入りました。
店主さんは昔からエディトリアルデザインの仕事をされ
最近定年引退されて、持っていた本、雑誌などを手放したく
古本屋さんを始めたと。
この店主さんからたくさんのことを教えていただきました。
中でも心に残ったのが、
芸術家・横尾忠則氏が、グラフィックデザイナーだった時代の
出版物について。
店主さんとしては、1980年代から2年弱、横尾忠則氏がアートディレクションをした
雑誌「流行通信」が最高にかっこいいと。当時の印刷技術の限界を超えて
無理に生み出したと言われる、グラフィックデザインや色使いなど
圧倒的な迫力があるそうです。
その古本屋さんには置いていない品でしたが、
家に帰って自宅で調べても、なかなかな高値で取引されており手が出せず。
引き続き探していこうと思いましたが、
どうやら横尾忠則氏が画家宣言をした後にも、
一度だけカムバックした流行通信があるということで、
そちらをゲットしました。
1992年の流行通信です。新装刊No.1とのこと。
紙面のデザインは中々のクセの強さ。
毒々しいような色使い。圧巻。
という感じでしたが、
雑誌後半には、当時日本の商社さんがアメリカより
入れていたPELLY ELLIS(ペリーエリス)のかっこいい広告がありました。
ナイスなヴィジュルでしたが、
そこに登場したキャッチコピーがなんとも素敵。
それが
「SLOUCH」
「スラウチ」
と読みます。
SLOUCHは、直訳すると「猫背で前かがみ」「だらっとしている」という言葉。
この言葉は、元来、ネガティブな意味です。
ですが、この広告の
PELLY ELLISはこの言葉をポジティブに扱っています。
「ゆったりとしたシルエットで、エレガント。」
「リラックスできる着心地。」
これが、SLOUCHだと。
さらに調べると、PELLY ELLISは
70年代後半ぐらいから「SLOUCH」という言葉を使い
SLOUCH LOOKと銘打って独自にビジュアルを打ち出しています。
1978年のワシントンポストでは、
身体のラインが消えるほどのルーズフィットで、
シワがよってしまうほどにオーバーサイズな服を打ち出す
PELLY ELLISのSLOUCH LOOKを、
絶賛しつつも、一部の潮流のように揶揄した記事を上げています。
洋服のクラシックとは、
身体に添い、身体のラインを生かしていること。
という当時の常識とかけ離れた、
SLOUCHやSLOUCH LOOKは、
まさしくカウンターのような服、表現だったからだと推測します。
2000年に入ってからは、
SLOUCHから派生した、
SLOUCHYがファッション用語に。
肩の力を抜いた、リラックスした様子やスタイル。
体への締め付けが少なく、だらりとしたシルエットの服。
完全にポジティブな言葉となっています。
SLOUCH、スラウチ。
CONFECTにいる僕としては、
元々の意味も含めて
結構しっくりとくる言葉です。
主観的にも客観的にも
CONFECTの服やスタイルには
SLOUCHな雰囲気があります。
ということで、
そんなSLOUCHな気分な服を、2つご紹介。
まずは、今季のSLOUCHの筆頭。

杢ツイードジャケット
col : Black / size : 3, 4, 5
price : 66,000 yen

もう一つ。
これはSLOUCHな、猫背男にぴったりの一着。


という具合です。
SLOUCHという言葉に踊らされている、
40歳の秋でした。
それでは、また。